≪薄茶(うすちゃ)と濃茶(こいちゃ)のちがいとは?≫ 点て方や頂き方のちがいをわかりやすく解説!


マッチ

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茶道歴:7~8年。
高校で茶道部に入り、その後茶道教室に通う。
茶道教室に入って4~5年経ったところ。
現在、許状は「大円之草」まで取得。
お茶名の取得を目指して奮闘中。

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はじめに。

茶道におけるお茶の種類には、大きく分けて薄茶うすちゃ濃茶こいちゃの2種類があります。
(厳密に言えば、煎茶などもありますが、今回は裏千家でのお話です。)

一般的に皆さんが目にしたり口にしたりする、いわゆるお抹茶と呼ばれるものは薄茶です。

薄茶は、湯の量が多く、空気を多く含んでいるため、サラッとしていて口当たりが良く、初心者の方でも飲みやすくなっています。
一方、濃茶はその名の通り、湯の量が薄茶とは違ってかなり少ないため、味がより濃く、ドロッとしています。

今回は、薄茶と濃茶のちがいを様々な面からご紹介します。

この記事でわかること
 薄茶とは、濃茶とは何なのか。
 2種類のちがいは何なのか。
定義や点て方、お道具など様々な点から知ることができます。

薄茶と濃茶のちがいは?

茶道の世界では、薄茶は”おうす濃茶は”お濃茶こいちゃとそれぞれこのような通称で呼ばれます。
ではさっそく、様々な面から2種類のちがいを見ていきましょう。

 定義 -茶道辞典より一部引用

薄茶(お薄)

抹茶の一種。濃茶に対していう。濃茶用の茶は新芽のごく柔らかい部分であるが、薄茶用のはそれよりやや範囲が広い。濃茶にくらべ味わいは淡白である。


濃茶(お濃茶)

抹茶の一種。薄茶に対していう。一般に薄茶は普通の茶樹より採るが、濃茶は古木の若芽を採る。一碗に一客分三杓さんしゃく程度の分量で掬出すくいだし、湯を注ぎ、茶筅ちゃせんで練る。数名の連客飲回れんきゃくのみまわしとなる(各服点かくふくだての場合もある)。茶銘は各流家元いえもとによって種々付けられている。


つまり要約すると、以下のようにそれぞれ使用する葉茶がちがうことが分かります。

薄茶(お薄)普通の葉茶で作られたもの。新芽
濃茶(お濃茶)若芽だけで作られたもの。

 お茶の点て方/練り方

薄茶(お薄)
 湯の量を多く入れて、シャバシャバと空気を含ませ、
 ふんわりきめ細かな泡を素早くてる
 おおよその茶と湯の割合は、茶:湯=1:3

 お客さんが複数名いる場合も、お客さん一人ひとりに
 3口半程の量のお茶を点てて差し上げます。

濃茶(お濃茶)
 湯の量は少なめで、茶がまんべんなく湯と混ざり合い、
 照りが出てくるように丁寧に練り上げる
 おおよその茶と湯の割合は、茶:湯=3:1

 お客さんの人数分だけ一つのお茶碗に濃茶を練ります。

ここで注目したいのが、薄茶と濃茶では以下の言い方のちがいがあります。

薄茶(お薄)てる」
濃茶(お濃茶)る」

これは、薄茶は素早く泡が立つようにするのに対し、濃茶では泡が立たないようしっかりと茶を溶かす、という工程のちがいから区別されています。

また、一つの茶碗に入れるお茶の量にもちがいがあります。

薄茶(お薄)一碗に一人分のお茶を入れる = 3口半
濃茶(お濃茶)一碗に人数分入れる = 3口半×人数分

厳密には点て方、練り方だけでなく、お点前にもいくつかのちがいがあるのですが、薄茶点前と濃茶点前についてはまた別の記事で紹介いたします。

 客側の頂き方

お客さんとしてお茶を頂く際にも、以下のようなちがいがあります。

薄茶(お薄)
お客さん一人ひとり別々でに薄茶が振舞われるので、
お客さんは、お茶碗に入った薄茶を一人で頂くことができます。
次に待っているお客さんは、先のお客さんと同じお茶碗、
もしくは別のお茶碗に薄茶を点ててもらい、順番に頂きます。
茶器ちゃきには人数分より多めに入っているので、
お客さんが申し出ればおかわりをすることが可能です。

濃茶(お濃茶)
お客さん全員が一つのお茶碗でちょっとずつ飲んで回します。
一人につき3口半程頂いて、次のお客さんに渡します
茶器には人数分しか入っていないため、
一人3口半より多く飲むと、後に控えている人が
少量しか飲めなくなってしまいます。
ちなみに3口半とは、三度お茶を飲み込み、
最後にい切りをする(蕎麦をすするようにズズッと
お茶を飲む)ことを言います。

具体的なお茶の頂き方はこちらの記事を参照ください)

このようにお茶の点て方、練り方が違えば、客側の頂き方も変わってきます。

薄茶(お薄)一客一碗いっきゃくいちわん
濃茶(お濃茶)連客れんきゃく飲み回し」
 

 お道具

使用するお道具にも様々なちがいがあります。
今回は以下の茶碗、茶筅ちゃせん茶器ちゃきのちがいを紹介いたします。

茶碗

薄茶どんな柄や形でも使用できます
夏にはガラス製の涼しげなものや平茶碗ひらじゃわん★1
冬には湯が冷めにくい筒茶碗つつじゃわん★2など、
季節毎に柄や形、色合いを使い分ける。

濃茶重厚感のある無地の茶碗
樂焼らくやき萩焼はぎやきなどの格式が高く、
湯が冷めにくい重厚感のあるもの。

茶筅ちゃわん

茶筅とは、お茶を点てる、練るときに使用するものです。
役割としては、泡立て器のようなものですね。

・薄茶:中荒穂ちゅうあらほ荒穂あらほ★3
だまにならないようにゆっくりと練る必要があるため、
荒めの茶筅を使用します。

・濃茶:数穂かずほ★4
きめ細かな泡を作るようにに点てるため、
細い茶筅を使用します。

茶器ちゃき

茶器とは、お抹茶を入れておく容器のことです。

・薄茶:なつめ★5、もしくは薄器うすき★6
茶碗と同じく、状況に応じて使い分ける。

・濃茶:茶入ちゃいれ★7
陶器に牙蓋げぶた(象牙で作られた蓋)を合わせたものを使用する。

お道具についての詳しい説明はこちらの記事を参照)

お道具のちがいからわかるように、薄茶では華やかなお道具を使ってお客さんを楽しませながら、濃茶では厳粛な空間でお茶を差し上げます。

[注釈]

★1平茶碗:夏の涼しい時期に、湯が冷めやすいように、通常の茶碗よりも浅く、平べったい。

★2筒茶碗:2月の極寒の時期に、湯が冷めないように、通常の茶碗よりも高さがあり、口が狭くなっている。

★3中荒穂・荒穂:穂数が32~50本程度の茶筅。薄茶に使う茶筅に比べて荒いため、湯に混じったお抹茶がだまになりにくく、しっかりと練ることができる。

★4数穂:穂数が70本前後の茶筅。泡立て器のように細かくシャバシャバと振ることができ、きめ細かな泡を作ることができる。

★5棗:“薄茶器の一種。植物の棗の実に形が似るところからの名称。基本的には、黒塗で、甲にやや丸みを持つ蓋が七対三ほどの割で上方に合口をなし、身は下方に行くにしたがってややすぼまり、底が少し上がって”いる。

★6薄器:薄茶を入れる容器で棗以外のものの総称。

★7茶入:“濃茶を入れて手前に用いる陶製の小壺。通常、象牙の蓋を伴い、名物裂などの仕覆(袋)を着せて用いられ、挽家に納め、さらに箱に入れて保管する。”


まとめ。

今回は、薄茶と濃茶のちがいを紹介いたしました。
様々なちがいを以下の表にまとめてみましたのでご覧ください。

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